心根(こころね)
生きてるってことは、良しに悪しに『天に唾を吐いているのと同じ』と信じている。
だからといって、「心根」が何時も「清く正しく美しい」とは限らへん。
胃カメラ検査を明日に控えた今日や昨日、どんなにか潔い人を仰山テレビで観たか。
「せやのに目に浮かぶのは、ベッド上で全身を硬直させて看護師さん達に押さえ付けられているとこやねん!」とこぼせば『さすが白衣性高血圧だけのことはある』と哲之さんは笑った。
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生きてるってことは、良しに悪しに『天に唾を吐いているのと同じ』と信じている。
だからといって、「心根」が何時も「清く正しく美しい」とは限らへん。
胃カメラ検査を明日に控えた今日や昨日、どんなにか潔い人を仰山テレビで観たか。
「せやのに目に浮かぶのは、ベッド上で全身を硬直させて看護師さん達に押さえ付けられているとこやねん!」とこぼせば『さすが白衣性高血圧だけのことはある』と哲之さんは笑った。
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鳩尾の激しい痛みで目覚めた。
今だに呻き声を思い出すと腹筋が震える。
再発した痛みの理由は明白だった。処方された鎮痛剤を、昨晩初めて服用しなかったから。
何故にそんな愚かなことをって?
薬疹が身体のアチコチに出たから…
僅か一回の服用中止で襲ったまさかの激痛は、私を激しい痛みをさえ上回る驚愕の底に叩き落とした。何と処方された薬効は強力だったのか!
そして理由はまだあった。痛みの根っこが分からないことであり、沈黙の臓器である肝臓では有り得ないことである。
つまりC型肝炎と躁病だけでもやっかいやのに、こんなに苦痛を伴う別の疾病にも罹患していることになるから。
正月早々、心に暗雲が立ち込めた。
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煮卵も里芋や大根の煮物さえ綺麗に平らげて貰ったら、料理人は晴々とした気持ちになって、『皆で買いもんに行こか。』
献立に捨て去るものがないことは、やはり主婦にとって誇らしい。
三人揃って外に出れば、風もなく思いの外暖かい。
そういえば、去年は株の大暴落に端を発していろんな事があったなぁ。
哲之さんはサラリーマンになり、月額18万円の賃貸マンションからコンバクトなマンションに引っ越し、テッチャンは埼玉で下宿を始めた。
それでも、今気付いてみればテッチャンが埼玉から来てるし、健康の不安を除けば安穏としていられる。
『人間万事塞翁が馬』とはよー言うたもんやね、哲之さん。
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元旦に初舞をしてしまったら、なんか腑抜けになってしまった。
テッチャンと哲之さんが確定申告書類作成に必要な経理に四苦八苦しているのを尻目に、『トホホ!10万円もしたがな』と言われながらも買ってもろた超お気に入りDISNEYmobile片手にある時はブログに興じ、ある時は惰眠を貪り、揚げ句の果てには笑いにドキュメンタリーにとTVに興じた。
これこそ寝正月。
平成元年から始めた仕事を一段落させたあたし。
心身共に伸び伸び、人生の次の段階に差し掛かったことを実感させるターニングポイントだと、正に実感させられた。
今年は主婦、地唄舞、合気道、それと病気。
皆と上手に付き合うたるっ!
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一時間待ちの初詣は、殊の外体力を消耗させた。
年越し蕎麦ならぬ水炊きの、熱気が残る部屋に入ればそのまま蒲団をかぶった。
目覚めの良い朝は気持ちも爽やかや、けど哲之さんとテッチャンはそうでもないらしく、きっと初舞は私だけだと独り言た。
準備万端、『鶴の声』から。
胃痛が高じた12月は20日頃からずーっとお休みしてたから、振りを忘れてたらどうしよう!
『風雪流れ旅』は新舞踊やけど、ずーっとやりたかった男踊り。
さて一回分の振りは入ってるやろか?
四年越しの『京の四季』に『高砂』『松づくし』『御所のお庭』『御所車』に『鶴亀』。
最後は『黒田節』で完了。
この達成感故に止められへん!
因みに携帯で日付を調べたら何と、元旦!
何でやろ?
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甥と哲之さんがTVアニメのブッラクジャックに釘付けになっているところを、引き剥がすように外に連れ出した。
するとどうだろう!
隣の春日神社は、既に参拝の方々による長蛇の列。
弱気に転じた男二人を尻目に末尾へと走り出したのは躁病の成せる技か…
自販機で買った缶珈琲で温まったのもつかの間、吐く息白く待つこと一時間でやっと手水鉢場に辿りついた。
決壊で手袋と帽子を外して『お賽銭、頂戴』とせがんで掌に載せられたのは意外なことに千円札だった
『(引っ越して)来たばっかしやからなぁ。挨拶や。』
無信教の割には粋なことをする。
春日神社は一歩脚を踏み入れた時から、整然とした雰囲気を醸し出していた。
全体が隅々まで清められていて、とても気持ちがよい。
初詣での後はお神酒を戴いた。れっきとしたした清酒だったから、残りを哲之さんに託し、病気のお札と根付けを求めたら紙袋が渡され、何とそれは正真正銘ドンド焼きで焼かれたサツマイモ。
『今年は絶対エエこと、ある!』
それを確信させるぐらい、甘く美味しかった!
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